教祖が、初めて赤衣をお召しになったのは、明治七年十二月二十六日(陰暦十一月十八日)であった。教祖が、急に、
「赤衣を着る。」
と、仰せ出されたので、その日の朝から、まつゑとこかんが、奈良へ布地を買いに出かけて、昼頃に帰って来た。それで、ちょうどその時、お屋敷へ手伝いに来ていた、西尾ナラギク(註、後の桝井おさめ)、桝井マス(註、後の村田すま)、仲田かじなどの女達も手伝うて、教祖が、
「出来上がり次第に着る。」
と、仰せになっているので、大急ぎで仕立てたから、その日の夕方には出来上がり、その夜は、早速、赤衣の着初めをなされた。赤衣を召された教祖が、壇の上にお坐りになり、その日詰めていた人々が、お祝いの味醂を頂戴した、という。
【現代の言葉にする】
明治7年12月26日(旧暦11月18日)のことです。
教祖さまは急に、
「赤い着物を着るよ。」
とおっしゃいました。
その朝から、まつゑさんとこかんさんが奈良の町まで赤い布を買いに行き、昼ごろに帰ってきました。
ちょうどそのとき、お屋敷に手伝いに来ていた西尾ナラギクさん(後の桝井おさめさん)、桝井マスさん(後の村田すまさん)、仲田かじさんたちも手伝ってくれました。
教祖さまは、
「出来上がったらすぐ着るよ。」
とおっしゃっていたので、みんなで急いで赤い着物を作りました。
夕方には完成し、その夜、教祖さまは初めて赤い着物をお召しになりました。
赤衣(あかぎぬ)を着た教祖さまは壇の上に座られ、集まっていた人たちは、お祝いに味醂(みりん)をいただきました。
【ひとつずつ説明する】
◆「教祖さまが急に赤い着物を着ると言われた」
→ 神さまからのお心に従って、すぐ行動に移すという教えです。
◆「まつゑさん、こかんさんが奈良まで買いに行った」
→ 教祖さまのお言葉に対して、すぐに動く素直な心をあらわしています。
◆「多くの女の人たちが手伝った」
→ みんなが心を合わせて、喜びのために働く大切さを教えています。
◆「赤衣ができあがり、その日に着初めをされた」
→ 神さまの思いに間に合わせるために、みんなが力を合わせたことがわかります。
◆「赤衣を着た教祖さまを囲んで、味醂でお祝いした」
→ 神さまのお喜びは、みんなの喜びにもつながるということです。
【ぜんぶまとめると】
教祖さまは、神さまのお心を受けて、赤い着物を着ることを決められました。
それを聞いた人たちは、すぐに行動して、心を合わせ、急いで赤衣を仕立てました。
教祖さまが赤衣をお召しになったとき、みんなで喜びを分かち合いました。
神さまの思いにすなおに従い、心を合わせて行動することが大切だという教えです。
【たいせつな教え(ポイント)】
「神さまのお心にすなおに従い、心を合わせて行動することが大切」
神さまのお言葉に、ためらわず、すぐに心を込めて動くこと。
そして、みんなで力を合わせて喜びをつくり出すことが、信仰の基本だと教えてくれているのです。