教祖は、おふでさきについて、
「ふでさきというものありましょうがな。あんた、どないに見ている。あのふでさきも、一号から十七号まで直きに出来たのやない。神様は、『書いたものは、豆腐屋の通い見てもいかんで。』と、仰っしゃって、耳へ聞かして下されましたのや。何んでやなあ、と思いましたら、神様は、『筆、筆、筆を執れ。』と、仰っしゃりました。七十二才の正月に、初めて筆執りました。そして、筆持つと手がひとり動きました。天から、神様がしましたのや。書くだけ書いたら手がしびれて、動かんようになりました。『心鎮めて、これを読んでみて、分からんこと尋ねよ。』と、仰っしゃった。自分でに分からんとこは、入れ筆しましたのや。それがふでさきである。」
と、仰せられた。
これは、後年、梅谷四郎兵衞にお聞かせ下されたお言葉である。
【現代の言葉にする】
教祖(おやさま)は、あるとき「おふでさき」についてこう話しました。
「『おふでさき』という書物があるでしょう? でも、あれがすぐに全部書けたわけじゃないのよ。1号から17号まであるけど、少しずつ、神様から聞かせてもらって書いたの。あるとき神様が『あれは、ただ見ただけではだめ。耳でしっかり聞いて理解しなさい』って教えてくれたの。
それで、神様が『筆を取って書きなさい』と教えてくれたの。わたしが72歳のお正月に、はじめて筆を持ったの。そうしたら、自分で動かしてないのに、手が自然に動いて、文字を書き始めたのよ。それは、天から神様が手を動かしてくれていたの。
書き終わると、手がしびれて動かなくなったの。そして神様は、『心を落ちつけて、今書いたものを読んでごらん。わからないことがあったらたずねなさい』って言ってくれたの。だから、わからないところは、あとから少し書き足したのよ。それが『おふでさき』なの。」
これは、後の時代に梅谷四郎兵衞という人に語られたお話です。
【ひとつずつ説明する】
『おふでさき』という書物がある
→ 天理教の大切な教えが書かれている、神様からの言葉が記された本のこと。
全部いっぺんに書かれたわけではない
→ 少しずつ、時間をかけて神様からの言葉を受け取りながら書かれた。
神様の声は「耳で聞くもの」
→ 目で見るだけでなく、心で感じて、耳でよく聞くことが大事という意味。
「筆を取れ」と神様が教えてくれた
→ 神様の教えは、自分から進んで受け取ることが大事だということ。
教祖が72歳で初めて筆を持った
→ 人は何歳からでも大事なことを始められる。年齢は関係ない。
手が自然に動いて文字を書いた
→ 神様が直接教祖の手を動かして書かせてくれた。それが「神の思い」。
書き終わると手がしびれて動かなくなった
→ 神様の仕事が終わると、体も自然に止まった。まるで奇跡のよう。
「わからないところは尋ねなさい」
→ わからないことはそのままにせず、人に聞いたり考えたりすることが大切。
あとから書き足した部分がある
→ 神様の教えは、はじめは全部わからなくても、だんだん学んで深めていくもの。
【まとめ】
教祖(おやさま)は、72歳のとき、神様から「筆を取って書きなさい」と教えられ、自然に手が動いて「おふでさき」という神様の教えを書き始めました。これは、自分で考えて書いたものではなく、神様から聞いたことをそのまま書き記したものです。そして「ただ読むだけではなく、心で聞いて、わからないことはたずねなさい」とも教えてくれました。
【大切な教え(ポイント)】
神様の教えは「心で聞く」ことが大事 → 本や言葉をただ読むのではなく、心で感じて受け取ることが大切。 わからないことは聞く勇気を持とう → わからないままにせず、人にたずねたり、自分で調べてみよう。 何歳からでも始められる → 大切なことを始めるのに、年齢は関係ない。神様はいつでも導いてくださる。 『おふでさき』は神様からの直接の言葉 → 書かれていることは、神様が人間に向けた大事なメッセージ。だから、丁寧に読んで学ぶことが大切。