稿本天理教教祖伝 逸話編 【六 心を見て】をAIで子供向けに説明


 嘉永五年、豊田村の辻忠作の姉おこよが、お屋敷へ通うて、教祖からお針を教えて頂いていた頃のこと。教祖の三女おきみの人にすぐれた人柄を見込んで、櫟本の梶本惣治郎の母が、辻家の出であったので、梶本の家へ話したところ、話が進み、辻忠作を仲人として、縁談を申し込んだ。教祖は、

「惣治郎ならば、見合いも何もなくとも、心の美しいのを見て、やる。」

と、仰せられ、この縁談は目出度く調うた。おきみは、結婚しておはると改名した。

惣治郎は、幼少の頃から気立てがよく素直なため、村でも仏惣治郎と言われていた、という。

このお話は、天理教の教えの中でも特に**「心の美しさの大切さ」や「信頼と誠実のご縁」**を示す、温かくて美しい出来事です。

【言葉の意味とやさしい説明】

嘉永五年(かえいごねん):今から170年ほど前のこと。 お針(おはり):針仕事、つまりぬいもの。昔の女の人にとって大切な家の仕事の一つ。 おきみ:教祖さまの三女。のちに「おはる」と名を変える。 縁談(えんだん):けっこんの話。お見合いや結婚の相談ごと。 仲人(なこうど):けっこんのとき、二人のあいだを取り持ってくれる人。 見合いも何もなくとも:相手に実際に会ったり、見た目を見たりしなくても。 気立て(きだて):人の性格や心のやさしさのこと。 仏惣治郎(ほとけそうじろう):とてもやさしく、仏さまのようだとみんなに言われていたあだ名。

【ひとつずつ説明する】

教祖の娘おきみさんは、ぬいものを習っていた女の子のつながりから、縁談の話が持ち上がった  → 昔は紹介やご縁で結婚が決まることが多かった時代。 紹介されたのは惣治郎さん。とてもやさしい心の持ち主だった  → 子どものころから素直で、村の人にも「仏さまみたい」と言われていたほど。 教祖さまは、外見やお金ではなく「心の美しさ」で結婚を決めた  → 「会わなくても、心が美しいと聞いたらそれでじゅうぶん」とおっしゃった。 おきみさんは結婚して「おはる」と名前を変えた  → 結婚すると名前を変えることがあった時代。

【ぜんぶまとめると】

このお話は、人の見た目やお金よりも、「心のやさしさ・まごころ」が何より大切だよ、ということを教えてくれています。教祖さまは、惣治郎さんのやさしい心を信じて、「見合いなんてしなくても、その人で良い」とおっしゃいました。

また、人と人のつながりは、心と心のご縁によって調っていくものだということも、伝えてくれています。

【たいせつな教え(ポイント)】

人を見るときは「心」を見ることがいちばん大事 やさしい心は、まわりの人にも自然と伝わる ご縁やつながりは、まごころから生まれるもの

このお話は、「やさしい気持ちがしあわせを呼ぶんだよ」と伝える道徳の教材にもぴったりです。

たとえば、「見た目じゃなくて、心で友だちを選ぼう」とか「やさしいことを続けていると、まわりが応えてくれる」といった、現代の子どもたち向けのメッセージにもできます。