ある時、教祖は、豊田村の仲田儀三郎の宅へお越しになり、家のまわりをお歩きになり、
「しっかり踏み込め、しっかり踏み込め。末代にかけて、しっかり踏み込め。」
と、口ずさみながらお歩きになって後、仲田に対して、
「この屋敷は、神が入り込み、地固めしたのや。どんなに貧乏しても、手放してはならんで。信心は、末代にかけて続けるのやで。」
と、仰せになった。
後日、儀三郎の孫吉蔵の代に、村からの話で、土地の一部を交換せねばならぬこととなり、話も進んで来た時、急に吉蔵の顔に面疔が出来て、顔が腫れ上がってしまった。それで、家中の者が驚いていろいろと思案し、額を寄せて相談したところ、年寄り達の口から、教祖が地固めをして下された土地であることが語られ、早速、親神様にお詫び申し上げ、村へは断りを言うたところ、身上の患いは、鮮やかにすっきりとお救け頂いた。
【1. 現代の言葉にする】
ある日、教祖様は豊田村にある仲田儀三郎さんの家に行かれて、家の周りを歩きながら、
「しっかり踏み込め、しっかり踏み込め。末代にかけて、しっかり踏み込め。」
と口ずさまれました。
その後、儀三郎さんにこうおっしゃいました。
「この家と土地には神様が入って、しっかりと地固めをしたんや。たとえお金に困っても、手放してはいけないよ。信心(神様を信じる心)は、ずっと子孫に続けていくものなんやで。」
それから時がたち、儀三郎さんの孫の吉蔵さんの代になって、村の人から「土地の一部を交換してほしい」と言われ、話が進んでいきました。
けれど、その時、吉蔵さんの顔に大きな腫れ(面疔:めんちょう)ができてしまい、家族もびっくりして、どうしたらよいか相談しました。
すると年配の人たちが、「この土地は教祖様が神様の思いで地固めしてくださった場所だ」と話し出し、すぐに神様におわびをして、村にも「交換はできません」と伝えました。
すると、吉蔵さんの顔の腫れはきれいに治り、元気になりました。
【2. ひとつずつ説明】
①教祖様が来られたこと:
教祖様が家に来てくれたことは、神様がその家を大切に思ってくださっているしるしです。
②「しっかり踏み込め」と言われた意味:
これは、「この場所を大切にして、信心をしっかり続けなさい」という意味です。信じる心と土地の大切さを伝えている言葉です。
③「手放してはならんで」と言われた理由:
神様が入っている土地なので、お金に困っても勝手に売ったり、交換してはいけない、という教えです。
④後に起きた腫れの話:
神様の心に背いて、土地を交換しようとしたことで、身体にしるし(めんちょう)が出て「これは気づきなさいよ」という神様からのメッセージだったと考えます。
⑤信心でお詫びしたこと:
神様に「すみませんでした」と心からおわびをして行いを改めたことで、病気が治ったのです。これは、信心が通じた証しです。
【3. まとめ】
このお話は、「神様が地固めしてくださった場所や物を大切にし、信心を続けることの大切さ」を教えてくれています。
たとえ生活が苦しくても、大切なものを簡単に手放してはいけません。神様にいただいた「しるし」や「教え」は、ずっと子や孫へと受け継いでいくべきです。
そして、何か悪いことが起きたときは、すぐに信心の心で神様に向き合うことで、救われることがあります。
【4. 大切な教え】
信心は代々続けるもの 信じる心は一代限りではなく、ずっと先の代まで続けていくことが大切です。 神様の地固めとは 神様がその土地にしっかり心を込めてくださったという意味です。その土地や家は特別で、簡単に動かしたり、手放してはいけません。 身体の不調は神様からのメッセージ 病気やトラブルは、ただの偶然ではなく、神様が「気づいてほしい」と伝えていることもあります。 おわびと信心が救いにつながる 間違ったことをしたら、素直に神様におわびする気持ちが大切です。すると、神様はきっと助けてくださいます。