稿本天理教教祖伝 逸話編 【八 一寸身上に】をAIで子供向けに説明


 文久元年、西田コトは、五月六日の日に、歯が痛いので、千束の稲荷さんへ詣ろうと思って家を出た。千束なら、斜に北へ行かねばならぬのに、何気なく東の方へ行くと、別所の奥田という家へ嫁入っている同年輩の人に、道路上でパッタリと出会った。そこで、「どこへ行きなさる。」という話から、「庄屋敷へ詣ったら、どんな病気でも皆、救けて下さる。」という事を聞き、早速お詣りした。すると、夕方であったが、教祖は、

「よう帰って来たな。待っていたで。」

と、仰せられ、更に、

「一寸身上に知らせた。」

とて、神様のお話をお聞かせ下され、ハッタイ粉の御供を下された。お話を承って家へかえる頃には、歯痛はもう全く治っていた。が、そのまま四、五日詣らずにいると、今度は、目が悪くなって来た。激しく疼いて来たのである。それで、早速お詣りして伺うと、

「身上に知らせたのやで。」

とて、有難いお話を、だんだんと聞かせて頂き、拝んで頂くと、かえる頃には、治っていた。

それから、三日間程、弁当持ちでお屋敷のお掃除に通わせて頂いた。こうして信心させて頂くようになった。この年コトは三十二才であった。

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このお話は、天理教の信者である西田コトさんが、信仰を持つようになるきっかけとなった体験談です。

【やさしい現代語訳】

文久元年(1861年)の5月6日、西田コトさんは歯が痛くて、近くの「千束(せんぞく)稲荷さん」におまいりしようと家を出ました。

でも、本当は北の方に行かなきゃいけないのに、なぜか東の方へ向かってしまいました。

そうしたら、たまたま友だちに道でばったり会ったのです。その友だちに「庄屋敷(しょうやしき)におまいりしたら、どんな病気でも治るって聞いたよ」と教えてもらい、急いでおまいりに行きました。

そのときは夕方だったけど、教祖さまは、

「よく帰ってきたね。待ってたんだよ。」

とやさしく声をかけてくれて、

「ちょっと体のことで神様が知らせてくれたんだよ」

と教えてくれました。

さらに、神様のお話と“はったい粉(麦粉)”をお供えとしてもらいました。

家に帰るころには、歯の痛みはすっかり治っていたのです。

でも、その後4~5日間おまいりに行かないでいたら、今度は目がすごく痛くなりました。

またおまいりして相談すると、教祖さまは、

「これは体を通して神様が知らせてくれてるんだよ」

と話してくれ、また神様のお話を聞いておがんでもらうと、目の痛みも治ったのです。

それからは、お弁当を持って3日間、お屋敷(教祖の家)のお掃除に通いました。

この体験から、コトさんは信仰をもって神様の教えを大切にするようになったのです。

このとき、コトさんは32歳でした。

【ポイントまとめ】

偶然と思える出来事にも、神様の導きがある。 身体の不調は、神様が「気づいてほしい」と知らせてくれているサイン。 教えを聞き、おがむことで心も体も元気になる。 継続して信仰することが大切。